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第13章の25

「子供のこと、軽々しく言わないでもらえますか… って、先輩に向かってすみません。 でも、恋愛の延長に子供があるとしてもやっぱり、 子供のことって、大人の都合ばかりで言っちゃだめだと思うんですよね。 まして、夫婦の間の子供じゃないのに… それに、ご主人だって、愛する響子さんのために我慢するわけで… つらいと思うんです。」 「そうだけど、諒くん、私の気持ちもわかって。」 いつもと違って、少女っぽい彼女の目は真っ赤になっていた。 本当に本気なのだろうと諒は思った。 さして付き合いもないのに思い詰められるのも慣れていたし、 これ以上先輩を傷つけるのは嫌で、はっきりと断った。 「響子さんほどの方に見そめられたのは光栄だと思います。 でも、俺にはやっぱり麻也さんしかいないんです。ごめんなさい。」

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