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第13章の26
「痛めつけられて、闇を抱えてる麻也くんで本当にいいの?!
浮気だってしてるのよ! 」
響子の感情的な言葉に、かえって冷静さを取り戻した諒は響子の目を見て、
「麻也さんはそんな人じゃないって、そのうち響子さんもわかりますよ。」
そう優しく笑いかけてみた。響子も苦笑して、
「あー、もうつけるクスリがないわねえ…修羅場になっても知らないわよ。」
「慣れてますから大丈夫。」
その切り返しに響子が浮かべた笑みには、自分への想いがあるように見えて…
回数多く顔を合わせてしまうとダメだなあ、と、情にほだされやすい諒は思ってしまった。
が、それを察したように、響子も元気な笑顔を作り、
「また来るわね。」
と言い残して、背すじをのばして、部屋を出て行った…
諒に言葉はない。
それを見届けると、諒はがっくりと床に座り込んでしまった。
そして、やっとのことで、須藤が戻る前にとさっきの写真をバッグにしまい込んだ。
須藤が戻ってきたのはその後だった。
「諒さん、いたずら電話とか大丈夫ですか? 私のは片方いたずらでしたよ…
まさか今の人の関係者じゃ…」
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