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第13章の27
スタジオに向かう車の中で、諒は無言のままだった。
さっきの響子の話が、あまりに唐突すぎただけに、
どう考えていいのかわからない…
(あまりにできすぎた話だからこそ、本当なのか? )
作り話だとしたら、もっとリアリティを持って固めるのではないだろうか。
(それに、響子氏の持ってきた話だし…)
彼女は<麻也をどうにかしたい>というより、諒が手に入れば事実はどうだっていいはずだった。
(何より麻也さんがそんなひどい人だとは思えない。
でも最近、確かに別行動だし、帰りも遅い…)
しかし、それ以上に諒が不安になったのは…
(麻也さんが…前の社長と…いやいやそういうことをしてたとしたら…)
麻也が語ろうとはしないこと…初めて結ばれた時に、
麻也が泣きながら認めた<つらいこと>が、
そういうことだったら…
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