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第13章の29

「諒さん、何言われたか知りませんけど、あの人のいうことは信じちゃだめですよ。 なにせ、19歳で今のご主人…20歳も上の大物脚本家を、 前の奥さんと子供たちから略奪したような人ですから。」 「はあ? 何それ…」 思い乱れていた諒も、びっくりして、となりの須藤を見てしまった。 須藤は淡々と、 「まあ、古今東西、よくある話ですよ。芸術家っていうか何て言うか同士はどうしてもねえ。 未成年とかいうけど、高校過ぎた子なんて、結構大人びた子も多いですからね。」 諒は答えに困る。それって、須藤も冬弥のことを知っているのか。それとも鈴音か… 「…まあ、そんな感じでいつまでもあの人はダンナさんには甘やかされてるみたいですよ。 40の大人になっても、ダンナさんには少女のままに見えるんでしょうね…」 「そんな…もんなのかな…? 」 ピンと来なかった諒が尋ねると、 「諒さんも麻也さんに対してそういうとこありませんか? 私なんかウチの古女房が今でも出会った頃のように可愛いですが。」 普段なら須藤に突っ込むところだが、できなかった。

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