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第13章の32

 麻也が電話を切るなり、須藤も鈴木もピリピリして、 「ここ終わってからの打ち合わせですか? 」 「うん…今ヤマ場なんで仕方なくて…鈴木さんはいいから。俺一人で…」 それを、少し離れたところで聞いていた諒は、 よっぽど鈴木に同行してほしかったが、マネージャー陣もハードスケジュールなのを知っているだけに頼めない。 仕方なく、 「麻也さん、俺ついていこうか? 」 と何気ない風を装って言ってみた。 が、予想通り、 「いいよ。諒は家でノドいたわっててよ。」 と、ごく普通の笑顔で返された。 まあ守秘義務の問題もあるし、他社の、関係もないアーティストが緊急の極秘会議に座るというのも、 確かにおかしな話である。  他のみんながそれぞれの作業をしている間に、 諒は別室でノドのウォーミングアップをいつも通りすませ…ようとしたが…

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