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第13章の42
…かすかに…着信音…?…
…ん…?
あわてて諒が起き上がると、なぜかここは仕事部屋。
携帯はバッグの中で鳴っている。
急いで出ると、須藤からのいつものモーニングコールだった。
が、ふと、
―麻也さんと替わってもらえますか?
と、言われたときはうろたえた。
すぐに昨日のことを思い出したが…
「ごめんなさい。姿が見えないです。どこにいるのかな…」
言ってから、早速ベッドを使ったのがバレバレで嫌だなと思ったが、仕方がない。
―出かけてるんですか?
そこまで言われると正直に答えるしかない。
「いや、俺、仕事部屋で起きたばかりだからわかんないんですよね…
ちょっと待って。今見てきます…」
と、携帯を持ったまま念のためリビングをのぞいてみると…いない。
麻也の仕事部屋のベッドは使われた形跡なし。
寝室のドアを開けると、昨日の服のままの麻也が、ベッドのすぐ脇に転がっていた。
ベッドからずり下したらしい毛布をどうにかかけて。
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