695 / 1053
第13章の44
昨夜はほとんど眠れなかった。麻也のすべてを思い起こして…
ベッドの中で一睡もしていないという場合でも、
人間は実は少しは寝ていると聞いたことがあるが…
電話に気づいた時は確かにうとうとしていたな、と諒は思い起こしていた。
ふらふらしながらも諒は麻也を起こそうと横に座り込んだが、
何だかイライラが戻ってきて、まずないことに、
麻也をやや乱暴に揺さぶってしまった。
が、これくらいで起きる麻也ではなかった。
それでさらに声をかけようとしたら、のどが詰まってうまく声が出ず、
今日のレコーディングはどうだろうと諒は不安にもなった。が、
「…麻也さん、麻也さん起きてってば…」
「うわっ! 諒っ! …もう寝られるの? 」
起きてくれても、諒は麻也の言葉にイラっとした。
「はあ? もう朝だよ! 何言ってんの?! 」
「悪いから、諒がベッドに入るの待ってたの…あれっ? 」
朝だということに気づき、やっと起き上がった麻也は、
髪がもしゃもしゃしていて可愛らしかったが…
「麻也さん、シャワー浴びなかったのっ? 」
「…あ…うん…」
ともだちにシェアしよう!