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第13章の56

 麻也が動けないので、会議室で昼食になったが…リズム隊もあんまり食が進んでいない。  その後は引き続きファンクラブの企画会議で、 それが終われば4人はスタイリストの三田のアトリエに移動して、 パーティー用のスーツ選びだった。 ふらふらの麻也は、三田が選び出した数着のスーツの中から選ぶのも厳しいらしく、 「悪いけど真樹、一着選んで。俺、それ着るから。」 と座り込んでしまった。 諒としてはちょっと悔しい気もするが、真樹の服のセンスには、 麻也のついでに私服でもお世話になっているので、頼らざるを得ない。 三田は気の毒がって、 「奥の赤いドアが休憩室なの。そこのソファで休んだらどうかしら? 」 「いいんですか? 」 すまながって真樹が尋ねると、三田は、 「どうぞどうぞ。パーティーまで少しでも休んで。」 と優しく言ってくれる。 しかし諒は、なぜかアシストのための一歩が踏み出せず、それに驚き、あわてて動いた直人が、 麻也を抱えるようにして連れて行くのを見送ってしまった。

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