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第13章の57

すると、手早くスーツのチェックを始めた真樹が、 「諒、座らせてもらってセレクトしたら?  ボロボロ状態をカバーできるのを選ぼうぜ。」 てっきり麻也のことをとがめられると思ったので諒は驚いたが、 麻也もそれを望んでいるだろうと、真樹に素直にうなずいた。 …が、あの赤いドアには、諒には複雑な思いがある。 (先月やめたスタッフさん、麻也さんのこと思いつめてやめたらしいけど…) 麻也には告白できたのだろうか… まあ、麻也のタイプではないと思ったので、諒はそう警戒はしていなかったが…  それを言えば、メンバー全員、さまざまな人に思いを寄せられることはもちろん多い。   相手は、仕事時間が長すぎるせいか、業界人が多い。 リズム隊よりも、フロントの2人は男性からそれとなく迫られた経験が多いようだ。 諒の取り越し苦労ばかりではないのだ。 たまには違う世界の人もいる。 しかし、困るのは…

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