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第13章の59
パーティーの会場は、大御所らしい高級ホテルの宴会場などではなく、
間接照明もスタイリッシュな、でも落ち着いた雰囲気のパーティースペースの貸し切りだった。
そして、直人の予想に反し、社長たちが言っていたように、
出席者の年齢もまちまちで、メンバーたちを見てどよめく人も多かった。
「シャンパン飲めば元気になるよ、きっと。」
と言えるまで麻也は回復していたが、直人は、
「いや、点滴でも打てばよかったね、麻也さん。」
と言い、
「どうして気づかなかったんでしょうね。」
と須藤は珍しく自分を責める。
「いやいや、おじーちゃんの看病話じゃないんだから。」
と、真樹が冗談に紛らしたが、諒はその会話に参加することができなかった。
(こんな状態でまだ麻也さんは仕事を引き受けるのか…)
麻也は昨夜の打ち合わせで、アイドルの太賀鈴音の方の曲をさらに2曲受けてきたらしい。
それで須藤が契約書とスケジュール調整であわてていたのだ。
それを知ってしまったら…諒は何も言えなくなった。
いくらもう一つタイアップを取ってきたとは言っても…
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