711 / 1053
第13章の60
乾杯をしてほどなく、ディスグラ一行は主役のスタッフに呼ばれ、
写真家その人と話すことが出来た。
いつも世話になっているフォトグラファーたちと違い、
いかにも大御所らしく脂ぎったセンセイは、メンバーを見て、
「イギリスのミュージシャンみたいだ。いやいや本当にカッコいいね。日本のロックミュージシャンもここまできたか。」
と、グラスを片手に上機嫌だった。
脇に控えた、いかにもおハイソな、50代後半くらいに見える夫人も恥ずかしそうに含み笑いをしている。
すると先生は夫人を見やりながら、
「いやいやこの人がテレビ見ながら大声で、
<大変! あなた、この世のものとは思えない美形が歌ってる! >
って、娘と一緒に騒ぎ出したもんだから…」
「恥ずかしながらファンでございます。
娘と一緒にファンクラブにも入りました。」
と、夫人は頭を下げてくる。
恐縮して諒が、求められるまま握手をすると、
メンバーや先生やスタッフ、須藤と入り乱れて握手会と名刺交換会になった。
「それじゃあ、撮影の打ち合わせ日は明日にでも電話させるから…」
先生は、さわやかで謙虚なメンバーの様子が気に入ったようで断言してくれた。
ともだちにシェアしよう!