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★少女マンガな麻也王子→18-79

 …それでも…  「あの少女漫画のような綺麗なギタリストは誰だ?」とか、 「ディスグラのメンバーがボーカル以外もあんなにカッコいいなんて」などと、 音楽以外に反響も大きく…  音楽関係以外のメディアの取材が増えてしまった。  あのさわやかな男性は誰だということで、マダムのファッション誌などからも…  しかし、体力が落ちている麻也は全てを受けきれず、 諒たちに代わってもらったり、受けたものもインタビューは避けてグラビア撮影にしてもらったりもした。 おかげでチケットは売れた。完売も間近と麻也もどっかで耳にしていた気がする  それでも麻也はこの間もマンションに帰っていた。  諒のぬくもりなしでは眠れなかった…同じベッドで眠れればそれでよかった… 相変わらず、諒の、自分に対する情熱は休火山になったままだが…  そんな時期に、ツアー直前のオフが急に決まった。  諒は休日が前日に伝えられると、「初日に実家に帰る」とみんなの前で宣言した。  麻也に断りもなく、というか、気にする様子もなく。  麻也がひそかにがっかりしていると、 その場には居合わせた社長が、何でもない風に誘ってくれた。 「麻也はうちに来てゴロゴロしてたら? 上げ膳据え膳で楽だろ。 真知子ちゃんもみんなも会いたがってたよ。」  真知子ちゃんというのは社長の奥さんだ。 「いいんですかぁ? じゃあお言葉に甘えて…」 と、麻也は茶目っ気たっぷりにお願いした。  諒の表情は見なかった。

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