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★やっぱり諒に薬は秘密の麻也王子18-85
帰り道、また悩む二人は車の中でうなっていた。
「うーん…やっぱりダメか…諒には何て言おう…」
麻也の心配はもうその一点になっていた。
「…薬は今日初めてもらったことにする? 実は…なんて今さら言えないし…」
すると鈴木は、
「麻也さん、その薬は今日からってことでいきませんか?
先生が言った通り、これから好転したら上手くごまかせますよ。」
「そっか…そうだね…」
と口ではそう言いつつも、やっぱりまだ麻也は諒に薬のことを告げる決心がつかずにいる。
それでもふと気がつけば今の薬を飲み始めてから初の外出だけれど…少し元気が出てきている。
前の薬よりはいいかもしれない。これなら疲れ過ぎで耳の時間が乱れているだけということで、
2週間様子を見ましょうと言われたことにすれば<2時から男>として生活していけるのではないだろうか…
(それにどうせ諒も最近はすぐに寝ちゃうし…)
問題は次の診察で薬が変わることだが、いや、ツアーの最終まではこの生活自分で頑張るしかない…
真樹には本当の事を話すとしても…
取りあえず一週間後のゲネプロ…最終リハーサルまではそれで行こう…
とはいってもその翌々日には地方でツアー初日なのだ。
「…鈴木さんやっぱり諒に詳しいことはは言わないで…」
「いや、言ったほうがいいと思いますよ。
「いやだ。諒にこれ以上心配をかけたくない。」
麻也は鈴木を煙に巻くように極上の笑みを浮かべて見せた。
鈴木は珍しく不満そうに押し黙った…
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