721 / 1053
第13章の70
しかし美咲の方は、
「ええっ? 確かにテレビで、家でもキスしてるのは見ましたけど、
でも、あんなの冗談で…だって、ライブでは演出で…
そういえば今日は麻也さんは…? 」
かわいそうなほど美咲は混乱していたが、
「彼は仕事で帰ったけど…うーん、でも、ごめんね。
ラブラブは本当なの。さっき言った<奥さん>は麻也さんのこと。」
「でも諒さんて、子供さんいるんですよね?
だったら女の私でも大丈夫ですよね? 」
「いやあ、それは昔のことだから。麻也さんのせいで、俺、女性は卒業しちゃったみたいなんだよねえ…」
そこまで言うと、美咲は少し落ち着いたらしい。
「わかりました。そしたら、諒さんがまた女性専門に戻ったら、最初にその番号に電話下さい。」
「ハイ。じゃあその日まで、これはもらっておくね。」
まさか突き返すわけにもいかないので笑顔でそうは言ったものの、
この紙はすぐに須藤行きだと思うと、目の前の美咲がかわいそうな気はした。
それに、直人と志帆がもしまとまった時に、美咲とはどうなるのだろうとも諒は心配になった。
が、しかし…
ともだちにシェアしよう!