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第13章の70

しかし美咲の方は、 「ええっ? 確かにテレビで、家でもキスしてるのは見ましたけど、 でも、あんなの冗談で…だって、ライブでは演出で… そういえば今日は麻也さんは…? 」 かわいそうなほど美咲は混乱していたが、 「彼は仕事で帰ったけど…うーん、でも、ごめんね。 ラブラブは本当なの。さっき言った<奥さん>は麻也さんのこと。」 「でも諒さんて、子供さんいるんですよね?  だったら女の私でも大丈夫ですよね? 」 「いやあ、それは昔のことだから。麻也さんのせいで、俺、女性は卒業しちゃったみたいなんだよねえ…」 そこまで言うと、美咲は少し落ち着いたらしい。 「わかりました。そしたら、諒さんがまた女性専門に戻ったら、最初にその番号に電話下さい。」 「ハイ。じゃあその日まで、これはもらっておくね。」 まさか突き返すわけにもいかないので笑顔でそうは言ったものの、 この紙はすぐに須藤行きだと思うと、目の前の美咲がかわいそうな気はした。 それに、直人と志帆がもしまとまった時に、美咲とはどうなるのだろうとも諒は心配になった。 が、しかし…

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