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第13章の71

 その時、宴を締めくくる乾杯が告げられ、メンバーも女性たちも、話を切り上げ、グラスを持って立ち上がることになった…  会がお開きになって志帆たちを見送ってからも、ややしばらく諒たちはドアのあたりで人に声をかけられ、 それが仕事につながりそうな人ばかりなので、須藤が名刺を差し出して営業をかけるのにつきあった。  ようやく会場から出て、 「じゃあ私はちょっと会社に寄りますので…今日は本当にお疲れ様でした。」 と、須藤は言い、すぐに、 「あ、そうだ、せっかくこんなに早く仕事が終わったんですから、早く帰ってゆっくり休んで下さいよ。」 と言い足すと、いつものようにタクシーを拾ってくれようとする。 が、直人が、 「あー、須藤さん、いいです。俺たち少し歩きたいんで。」 諒も真樹もニコニコしながらうなずいた。 須藤は少し不審そうな顔をしたが、じゃあケガや風邪には気を付けて、とだけ言うと、解放してくれた。

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