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第13章の76

 諒は少しでも直人を励まそうと、 「でも、やっぱり志帆ちゃんの方がきちんとしてると思うよ。 あと、情報としてはさ…」 美咲と友美が志帆に距離を感じているという話をした。 「だから、志帆ちゃんと付き合っても、あの2人がくっついてくることはないんじゃないのかな…」 それを聞いても直人は浮かない顔だったが、真樹は、 「その方が助かるよ…それじゃ悪いけど、この辺で俺はあがります… お疲れでした! …って、このことは兄貴にはナイショねっ! 」 「絶対だよっ! 」 諒は必死で、去っていく真樹の背中に叫んだ…  直人は気を取り直して小路を歩き始めると、 「俺も初めての店なんだけど…あ、諒、今日はアルコール…」 「パーティーで少し飲んじゃったから、軽く解禁しちゃうよ。今夜だけ…」  少し歩いただけで、目当ての隠れ家的なバーには着いた。 ラグジュアリーというより渋いおしゃれな内装のうえ、暗すぎない照明の落ち着いた店だが、 比較的若いカップルが何組かいたこともあり、2人ともすっかり気に入ってしまった。 「あ、なんか、デートにもいい感じのお店じゃない? 」 カウンター席に落ち着いて、諒が何気なく言うと、 女性客と目が合って<えっ? >という表情をされたという直人は、 「俺が麻也さんじゃないからびっくりされたのかなあ? 」 と笑い、諒も最近のつらいことは忘れて笑ってしまった。 「直人、ケータイに気を付けてた方がいいんじゃない? 」    久しぶりのビールが美味しい諒は、機嫌よく言ってしまったが… 「いやあ、いいよ。今日はもう。それよりさ、真樹がいないから安心して訊くけど、 諒、ここ数日調子悪いのは麻也さんと何かあったの? 」

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