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第13章の80

 直人とは笑顔のままで別れたが… (…やっぱり麻也さんには訊けないな…) せめて明日にしよう、と諒は思った。 (どうせ、麻也さん、もう寝てるだろうし…) 家の近くのコンビニで、タクシーを降りると、 諒はいつもの習慣から、そして、ケンカをしても食事の支度は欠かさなかった母のことも思い出し、 パーティー用のいでたちのまま、麻也との朝食の食材を買い込んだ。 そして、さして酔ってはいない諒は、不似合いなレジ袋をぶらさげて、 自宅のマンションまで歩いていったのだが… 諒の前方、自宅マンション前にタクシーが止まり、 そこから降りてくる、同じくらいの年齢で長髪の、革ジャンを着たロッカー風の男。 そして、その男に気づかわれて降りてきたのは…麻也… いったいなぜ? その男は誰? こんな時間まで外? 諒の頭は大混乱で、思わず立ち尽くしてしまった。  

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