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第13章の81
しかし、麻也はかなり弱っているように見え、タクシーから降りると、
その男にしがみつくようなかたちになった。
(…あ…)
その様子にはやましいものは全く感じられなかったのだが、
諒はいてもたってもいられなくなって、その後ろ姿に早足で近づいた。
「麻也さん! 」
「あ、諒…」
嬉しいことに、振り返った麻也は、諒に支えを求めてきた。
一緒に振り返った連れの男は一瞬びっくりした顔をしたが、
諒だとわかるとほっとした顔をした。
そして、やはり諒の知らない男だった。
「すみません。麻也がご迷惑をかけて…」
諒は麻也を片手で抱き寄せながらそう言い、麻也は、
「こちら、スナイカーズのギターの久保田くん…」
と紹介しながら、諒にしがみついてくる。
諒が口を開く前に、いかにも性格の良さそうな久保田はあわてて、
「俺が悪いんです。麻也さんが体調悪いのに気がつかなくて、
無理にお時間いただいてしまって…」
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