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第13章の82
「いえいえ、このヒト、お世話になってる人のためなら何でも、なんですよ。
麻也とデビューアルバム作ってるバンドの方ですよね? 」
すると、久保田はどうしてか困ったような顔をして、ええ、とだけ答えた。
諒、悪いけど立て替えて、久保田くんのタクシー代…
麻也に囁かれて、諒はあわてて財布を取り出した。
止めたままのタクシーの横で久保田は遠慮したが、
「遠いから、お詫び。受け取って。」
麻也に可愛らしく言われると、久保田は諒から恐縮しつつ札を受け取った。
それから、麻也が心配だということになって3人で軽く挨拶を交わすと、
久保田は待たせていたタクシーに乗り込んで帰って行った…
そして、2人はマンションに入り、エレベーターに乗った…
ところで、また嫌な現実に引き戻された。
…俺たち、冷戦中…
(なんで早上がりしたのに、あいつと飲んでたんだよ…)
諒は麻也の顔の色を確認する気にもなれなかった。
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