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第13章の83
部屋の玄関に入ると、麻也は倒れこみそうになり、
諒は持っていたレジ袋をあわてて床に置いて麻也の体を支えた。
しかし、
「ごめん、諒…」
「ああ、いや…」
いつもなら何かひとこと言ってしまう諒だったが、今日はもう言葉はなかった。
パーティーのことが後ろめたいせいもあったかもしれない。
麻也がそう飲んでいる様子もなかったので、諒は麻也をまっすぐ寝室に連れて行った。
黒のスーツの麻也はすぐベッドの上に自分から横たわった。
「スーツ、脱がなきゃね。」
そう言うと、諒はいつも通り麻也のジャケットのボタンを外しかかったが、
自分のジャケットの袖口が邪魔な感じがして、脱いでハンガーにかけると、
また麻也のボタンに取り掛かった。
(明日には返してしまいたいしな…麻也さんも、買い上げしたいほどの衣装ではないだろうし…)
そんなことを考えながら、諒は麻也のパンツのボタンを外し、
下心なんて言葉もすっかり忘れてジッパーに手を…
すると、麻也は困ったように、
「諒、寒いんだけど…」
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