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第13章の92
「諒のはこれ、直人と俺のはこれ。」
真樹から手渡された写真を見て、諒はひっくり返りそうになった。
この写真では、まるで自分がノリノリみたいだ。
いい表情をしている…休戦協定も破り捨てられそうだ…
「…」
「何から話すかな…」
頼りの真樹も混乱している。
「兄貴のは写りがサイアク。諒は見ないで。
兄貴をこれ以上怒らせたくないから。
まあ、これ見終わったら全部須藤さんに預けるけどね…
諒に振られた腹いせだろうけど、悪意がありありで写真週刊誌が怖いって。」
「麻也さん、そんなに怒ってた? 」
すると、真樹は、
「…いや…ほんとをいうと表情は怒ってなかった。死んでた。
俺は<諒は無実だし、横恋慕の悪意に負けるのか?>って言ったんだけど、
<これ恵理ちゃんに見せようか?>って返された」
すでに諒はレコーディングのことも忘れていた。
「ううっ…もう、俺、どうすれば…」
「はい、もう回収でいいね? 直人もいいね? 」
「うん…」
直人だけは幸せそうな声になっていた…
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