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第13章の93
「よくそんな声でいられるねえ…」
「うん、明日実際に会えるから…」
「えっ? 」
諒が思わず直人の顔を見ると、いつしか見たこともないくらいにやけている。
すると真樹が渋い表情で、
「志帆ちゃんから連絡が来たんだって…」
「明日ブランチデートなんだ。昼デート、って提案した途端、
何だか明るい声になってOKしてくれたの~」
いつもクールな直人が別人のようだ。真樹も麻也の怒りを恐れながら、
「ま、そんなわけで、諒、ミッションは成功したんだから、
それだけでもよかったと思おう。」
「ごめん、でもみんなほんとにありがとう。この埋め合わせは何か考えるから。」
「だったら、直人、今夜泊まりに来て…」
諒の心からの声…の背後から、
「ふうん、今夜は直人なんだ。」
マイナス100度くらいの声だった。
「あ、兄貴…」
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