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第13章の94
振り返ると麻也だった。直人はどうにか、
「あ、俺は女性で忙しいんで…」
わかった、というようにうなずいた麻也は、諒には目を合わせず、うつむいて、
「人生ってほんとにつらいことが多いよね。
でも、俺たちまだ若いのに、それを表現もできてるって褒められてる。
…諒にはほんとに感謝だよ…」
「ま、麻也さん…それって…」
その言葉だけをを残して麻也はコントロールルームに戻っていった…
「…俺たちも戻ろう…」
直人に言われ、諒と真樹はそれに従った…
…その日も、その次の日も、家に帰りたくない麻也と諒のせいで、
レコーディングはあまりに緻密に進んでいった…
(この章終わり)
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