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第14章<バースデイ>の1
…その写真の諒は何だかすごく自由に見えて…
麻也はショックのあまり黙り込むしかなかった。
<俺だってその気になれば遊び相手はいくらでもいる>
…その言葉は確かにそうだと思ってきたけれど、
実際にそんなような写真を見せられると、諒の気持ちひとつで…
(俺は諒を失ってしまうんだ…)
痛感させられる。
そして、最近の家での冷たい空気…
怒っているというより、落ち込みで、麻也は諒に何も言えなくなった…
それなのに、<諒に感謝>なんて言ってしまって…
(…もうどうしたら…)
それに…可愛い女の子の手を取っていた諒の、
営業スマイルの下に何か隠されているような雰囲気…
(やっぱり、諒は俺といるより女の子といる方が自然なのかもしれないな…)
二日間、スタジオからはできるだけ遅く帰るようにして…
家ではシャワーの順番と食事のことしか諒とは会話せず…
そんなある日、スタジオの控室、疲れ切った麻也がみんなと食事のために入ると、
テーブルの上には、高級焼き肉店の弁当が置いてあり…
そしてみんなの笑顔…
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