756 / 1053
第14章の10
「…ったくもー、真樹にも立ち会ってもらえばよかったな…」
カメラを持ったまま、キョロキョロしながら諒は言う。
「何で真樹なんだよ…? 」
「ん? モノクロのドキュメントみたいの撮りたいから…
麻也さんの着替えを手伝ってる人とか欲しかったの…
あと、昼間の写真もいいよねえ~♪ 」
日頃、うんざりするくらい現場で写真の被写体になっている麻也も、
諒に撮られるのはまんざらでもない。
しかし、しかし…
気づけばもうかなり遅い時間になっているのに、
諒のプランはふくらみ、話も長くなりそうだ。
「諒、悪いけど、この時間じゃそれはできないでしょ?
だから、チョーカーとアンクレットと俺、の記念の写真だけで今日は終わりにしようよ。」
「えー、麻也さん、俺もう少し撮りたい! 」
眠くなってきた麻也は、そう言いながら諒もかなり疲れているのを見澄まして、
安心して王手を打った。
「諒っ! もたもたしてるとエッチできないじゃん! 」
しかし瞬時に跳ね返された。
「そうそう、マドンナのジャケ写真みたいな、
えっち後のけだるそうな麻也さんも撮りたかったの…
そっか、リアリティのために…」
諒の真顔にがっかりして、バスローブのまま麻也はベッドに倒れこんだ…
「…あ、そうだ、朝してみるのもどうぉ? その後に撮るの…まどろむ麻也さんが…」
もう勝手にしてくれ…
ともだちにシェアしよう!