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第14章の20

 でも、本人も不安だったのか、もう一枚撮ろうと諒はカメラを構えていたのだが… サイドテーブルに置いた印画紙に浮かび上がってきた麻也の姿をちらっと見て、 それから取り上げてしげしげと眺め始めた。 そして諒の目じりは下がっていき… 「麻也さん、すっごくいい感じだよ~♪」 と、見せてくれる。 「表情がりりしいのに、チョーカーがあるから王子さまっぽいでしょ?  隠すところも隠れてるしさ…」 「んも~、そこ? あ、モノクロで撮ったんだ。 モノクロもいいね。顔、ひどくなくてよかった。」 「カメラにはうまく反応できちゃうんだよ、俺たち。 職業病みたいなもんだろうけど…」 と言いながらも、諒はバスローブ姿で部屋を出ていきたい様子だ。 「諒、どしたの? 」 「カラー用のカメラ取りに行く。」 「もういいよ~」

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