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第14章の22

「え? どうなってるの? 」 諒が尋ねるとようやく真樹が顔を上げ、 「どうせ腰抜かしちゃって2時間くらい遅れてくると思ったから、 みんなそれぞれの仕事してたの。」 諒も麻也もへなへなと会議机にもたれかかってしまった。 「それならそうと言ってよ! 電話じゃ誰も言ってくれないんだもん…」 「諒、ボーカルの顔、へのへのもへじにしてもいい? 」 「…って、さっきから何やってんの? 」 「バンド初心者向けの雑誌の原稿。本当はディスグラ全員で、って言われたんだけど、 諒も兄貴も忙しすぎるし、一つのバンドにかたよりすぎるのも、ってことで…」 他のパートは違う三つのバンドが担当したという。 「ラジオの時みたいに笑える感じで、って言われて、今、清書してるとこ。」 言葉とは裏腹に、今日の直人は何だかクールでカッコいい。 …と、真樹がボーカルの顔を、目がやたらキラキラした妙な美形顔に描き終えて、 イラストは完成したらしい。 「…これでよし、っと…あれ、兄貴、それが誕プレの? 」 真樹に言われて、初めて麻也はチョーカーをつけたままだったことに気づいた。

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