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第14章の23

「…あ、そうそう…急いでたからつけっ放しだったんだね…」 「つけっ放しって、アナタ…」 諒はがっかりしていたが、直人も無邪気に、 「あ、よく似合ってる…にしても高そうだね。諒の愛を感じるね… 俺、バイク便ていうより、 怪盗ルパンみたいだったんだな…」 「ほんとだね。」 みんなひとしきり笑ったところで真樹が、 「そろそろお昼にしないとマズいよね…須藤さんたちに声かけてこようか? 」 「あ、真樹、今日は俺がおごるって言って…」 麻也がそう言うと、真樹と直人はにやりと笑い、 「二人でウナギとかいいね~って言ってたんだけど…」 「はーい、諒クンも! って、直人、もしかして志帆ちゃんと…?」 諒のいやらしい視線が直人につきささる。 さっきまでのクールさはどこへやら、直人は、 「んなわけないだろ! 昨日電話で話しただけだよっ! 」 「はー、びっくりした! まだ清い交際なのねっ♪ 」 「まだ、は余計だよっ! 」 またみんなと大笑いしながらも麻也は、 (ここが一番楽しい。もう出稼ぎ先になんか行きたくない…) 憂うつな気分が迫ってくるのを感じていた… (この章終わり)

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