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第15章の2

 またある日は他のメンバーと同じように、スタジオにこもってツアー用のギターの音を作っていたはずが、 いつしか追加の依頼で受けた、アイドルの鈴音の3曲目のアイデアが浮かんできて、 まとめるためにスタジオの時間を延長してしまい、帰りが遅くなったりもした。  が、帰れば、諒は以前と違って、自分の部屋にこもってしまっていて…寝ているのか、起きているのかもよくわからない。 (…そういや休戦協定の期間も終わってた、か…) 麻也は寂しくなった。 が、それ以上に、2人の仲が悪い期間がこんなにずっと続いていることの方がショックだった。 いや、<悪い>より、<冷えて>いるような気がして… でも、仕事のストレスとか、疲れのせいにして、方便としても謝ったり、歩み寄る気にはなれない… (あんな諒は俺の諒じゃない…また浮気疑ったり、かまってくれない、とか言うんだろうな…) そこまで考えて、勝手なのはお互い様か、とも思ったが…  その朝も、自分の部屋の簡易ベッドの上で…携帯の鳴る音…諒の起きろコール(といっても、何も諒は言ってくれないのだが)で、かすかに起され…  

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