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第15章の3
それでも麻也が起きられないでいると、諒が微妙な表情で様子を見に来てくれる…
諒が用意してくれた朝食を一緒に取るが、
レコーディング明け以来、今日のスケジュールや今後の仕事の確認などの、
事務的なことしか話さない。
その朝、麻也は特に憂うつな気分だった。
こんな暮れも押し迫って、よその新人とはいえ、
自分の手がけているスナイカーズというバンドの方針変更に立ち会わなくてはいけなかったから…
すると突然、諒の方が、
「…あさって…正月休みどうすんの? 」
麻也は驚いてしまった。
「えっ?もう、そんな日? 」
と言いながらも、
(そっか、諒があまり名前呼んでくれないのも突然感増すわけか…)
と寂しくなり、でも、ここで即答できないのも怒りを買いそうで、
前に考えた予定を言ってみた。
「5日間でしょ? 最初の2日はこっちでゴロゴロして、あとは実家で一泊して、
またこっちで買い物とか…っていうのが俺の希望だけど…諒はすぐ帰りたいんでしょ? 」
すると、諒はむすっと押し黙ってしまった。
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