774 / 1053
第15章の4
「なあに、諒?」
「別に。…」
「話振ってきたのそっちじゃん。最近、諒、ヘンだよ。
どうしたの? 何があったの? 俺も気を付けてるけど、
忙しくて気づいてないことがあったら教えてよ。」
すると諒はカフェオレの最後のひとくちを飲み干して、
ごちそうさま、と言って立ち上がった。
いやな気持ちのまま、2人はいつも通り同じタクシーで、
今日の集合場所の三田のアトリエに向かった…
一歩足を踏み入れると、須藤が諒に向かって、
「昨日の飲み会どうでした? 心配してたんですよ。」
と笑顔で尋ねてきた。
麻也は知らなかった。
諒が昨日誰かと飲んでたなんて。
暗い雰囲気をまとっていた諒の表情はますます暗くなり、
「う…ん…ちょっと困ったこと言われちゃって、
須藤さんだけじゃなく、社長にも話したいと思ってたんだ。
三人で。」
最後の言葉に、麻也は目の前が真っ暗になった。
ともだちにシェアしよう!