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第15章の10

(須藤さんがいないところでトラブルが起こるなら、 せめて新しく現場マネージャーでもつければいいのに…) あんなに重そうな事態が起こるならなおのこと… 目の前の話が終わったら、真樹にでも電話したい気持ちで麻也はいっぱいになった。 …ほんとは忘年会どころじゃない… 「諒、どうした? 須藤くんにも朝まで相談できなかったなんて…」  社長室で3人きりではあったが、頼りの大人2人におののかれているのは伝わってきて、 諒も困ってしまうが…黙っていると涙があふれてくる。 「あの大先輩を怒らせたとも聞いてないけどな…どうしたんだよ、諒? 」 「いや、すみません、やっぱりいいです。」 諒は席を立とうとしたが、隣の須藤に強い力に引き戻された。 「諒さん、どう聞いてもさっきのは爆弾発言でしたよ。ここではっきりと言って下さいよ。」 社長も強い口調で、 「その様子じゃまた麻也のことだろうけど、 気になることはどんなささいなことでも言ってくれないか。」 「いえ、いつも告げ口みたいで卑怯だからいいです。」 「だめだ! 」 聞いたこともない大声で、社長は諒を制止した。

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