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第6話
小林くんを最初に見かけたのは、俺の部下の人が工場内にある、系列のレストランの前ではなしてた相手。
次の日話をしてたのは誰?と聞くと息子でレストランでバイトをしてる。と。
それから食事にいくと、何度か注文を取りにきてくれた。
人懐っこい感じと、柔らかい感じはお母さん譲りかな。などと感じ、こちらが話かけると恥ずかしそうに答えてくれたりした。
それは高校生までの話。
大学生になると今度は工場のバイト面接にきた。
こちらがなんで?と驚いていると、時給がいい夜間をやりたいと話してくれる。
レストランは夜やってないんで。。。。
バイト態度はいたって真面目で
「悪さすると怒られるんすよ。あの人、マジ、怖いッすよ。」と母親の事を言ってた。元ヤンだから。。。俺が言ったって内緒ですよ。って笑った顔は幼かった。
ある日、夜からどしゃ降りになり、俺が準日勤を終えて、ロビーに行くと、玄関で彼に会った。
「どーした。」
「あっ。お疲れ様です。いや。雨すげーなって」
「小林くん。何?」
「えっ。」
「歩き?」
「いや。自転車なんでー」
「あっそうなんだ。」。。。。送ろうか?と言えなくなってしまった。
「すごいから電車で帰ろっかな。」とボソッと言ってきた。
「自転車置いて帰るなら送るよ。」
。。。
返事がないので、いや。ならいいんだけど。
。。。
って顔を見ると真っ赤になって俯いている。
「えっ。」
その顔に、俺はやられた。
もう。絶対に送ると決め、
「ちょっと待ってて、車持ってくるから」
って、雨の中を駐車場に走りだし、彼を強引に乗せて、送った。
何日かたって、現場で声をかけられた。
「木村さん。この前、うちの子。送ってくれたんですか?」
ちょっと小声で聞かれたので、
「あー雨凄くってね。」と言うと、少し困った顔をされる。。
「えっ。なんかいけなかった」
「別に、なんでもないですよ。ありがとうございました」さらりと交わされた。
なんとも不思議な感じだった。
その不思議な感じ?は後々判明する。
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