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第40話

【次は泉くんの好きなごはん作ってあげるねー】  涼介の手料理をごちそうになってから泉は帰宅した。DVDでも見ようと誘われたけど、落ち着かなくて早々と退散したのだ。そして真っ直ぐに自宅へと帰宅してしばらくしたらそんなメッセージが涼介から届いた。まるで家に着いたのを見計らったかのようなタイミング。  ベッドを背もたれ代わりに座って脱力していた泉は、マメだな、とそのメッセージを眺め苦笑した。  なんだかんだ憎めない。 【さっき家につきました】  どう返そうか悩んで、【また、今度よろしくお願いします】とあたりさわりなさそうな返事を送った。 「……いや、ちょっと違う?!」  送ってすぐになにをよろしくなんだ?と焦ってしまう。変に取られたらどうしよう。仕事で絶対顔を合わせるからそういうのを含め、よろしくだったのだが。 「きのうの……また、とか勘違いしないよな?」  涼介のことだから都合のいいように解釈しそうな気もする。でももう送信済みだ。  間を置かずに受信音が鳴って、いちいちびくりとしながら画面をのぞくと涼介からスタンプがひとつ。泉も知ってる少年漫画のキャラクターが手を振ってるだけのスタンプ。  ほかになにもなくて、ようやくホッとした。  ベッドの上にスマホを置いて、泉も這いあがってベッドに寝転がる。馴染んだ硬いパイプベッド。涼介の家のベッドとは違うマットレス。そして視界に映る天井。  自分の家だ、と安堵の吐息が出る。  気持ちが少しづつ落ち着いていって泉はゆっくり目を閉じた。  そして数秒。 「うああああああ!」  ジタバタと悶え始めた。  落ち着こうがどうしようがどうやっても思い出してしまう。 「ああああー無理!!」  忘れろと言われても思い出すなと言われても――誰からも言われてないが――無理だ。  強烈すぎて、ろくな自慰さえしていなかった泉にとって、涼介との情事は、脳裏に焼き付いてて、どうしようもなく思い返してしまう。 「どうしよう!」  時間よ戻れ!  と叫んでも無駄だが。とりあえず、泉は何度か某ネコ型ロボットの名前を助けを求めるように叫んだのだった。   ***

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