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第三章 † ①潜入捜査開始! の筈が……。

 その後、カルヴィンは重要参考人として事情聴取をするべく、樹海で出会った例の男の行方を追う。  ニューヨークは広い。カルヴィン一人で探索するには相当な時間と困難を要すると覚悟していたが、情報は意外と早く手に入った。  男の名前はクリフォード・ウォルター。年は三十二歳。伯爵家の生まれで、母親はクリフォードを生むとすぐ息を引き取り、父親は彼が二十歳を迎える頃、行方不明になった。そんなクリフォードに親戚はなく、身寄りもない。一人孤独に生きてきた彼はやがて隣町に大きな賭博クラブを構え、青年実業家として成長した。  母親の死と父親の謎の失踪。これらは彼による仕業だと噂されていた。人々は彼をこう呼ぶ。"CURSED BLOOD(呪われた血族)"と――。  無愛想で身寄りもない彼はまさに容疑者として申し分ない。彼こそが犯人だ。  そう判断したカルヴィンは決定的証拠を掴むため、彼が経営する賭博クラブに通い詰めることにした。  貴族が出入りするクラブの殆どは会員制だ。それはならず者に好き勝手な振る舞いをさせないための対策である。しかしクリフォードが経営する賭博クラブは特殊だった。  彼は会員制を取っ払い、金さえ支払えば誰でも自由に参加できるようにしていたのだ。それゆえにクラブは栄え、今も尚、拡大化していた。  果たして賭博クラブの常識さえも覆すクリフォード・ウォルターという人物は柔軟な思考を持った人間なのか、それともただ傲慢なだけなのか。
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