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第五章 † ①その先にある結末。

 自分はこのまま姉の敵を討てず、抱き殺されて終わるのか。  抱かれ続けて疲労した躰は事件解決への闘志さえも失いつつある。  そんな中、事態は急変する。  伯爵バラン・ド・ゴドフリーが主催する社交パーティーにクリフォードが参加するらしい情報を賭博クラブに出入りしている客たちから入手したのだ。  彼は今夜、バランの屋敷で殺人を犯すだろう。  その日、やはりクリフォードは寝室に姿を現さなかった。  彼を捕らえるのは今夜しかない。  カルヴィンは重い躰を奮い立たせ、ベッドから起き上がった。  一階は賭博クラブだ、常に人の目がある。  誰にも気取られてはいけない。  脱出するとなればバルコニーが得策だ。カルヴィンはカーテンの端と端を結び上げ、姉によく似たドールを抱えながらの脱出に無事成功を果たした。  一刻も早く会場に行かなければ。  焦るカルヴィンだが、ひとつ問題があった。カルヴィンの容姿は既にクリフォードに知られているということだ。そこでカルヴィンは洋服店でドレスを手に入れ、身に纏うと、ようやく馬車に乗り込んでバランの屋敷へ向かうのだった。 『窮地に立たされた王を助けた騎士』として名を馳せるバラン・ド・ゴドフリーは貴族の中でも一際輝かしい功績を残している。容姿もかなりのハンサムである。  婦人たちは皆、彫りの深い目鼻立ちに凛々しい躰と腰まである艶やかな金髪の彼に夢中だ。凛々しい伯爵の心を射止めようと胸元を大きく開いたドレスで女性らしさを強調したり、香水を匂わせて誘惑する。

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