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第五章 † ②その先にある結末。

 おかげで会場の中は人の熱気でむせ返り、様々な香水が混ざり合う。  熱気と香水に我慢できなくなったカルヴィンは庭に降り立った。  するといつの間に抜け出したのか、庭のそこにバランの姿があった。彼は女性と二人で何やら楽しそうに密談を交わしている。  カルヴィンは咄嗟に草陰へと身を隠した。まさか人目があるとは思ってもいない二人はより大胆になる。彼の唇がふっくらとした唇を塞ぐ。  やがて彼の唇は彼女の口元を離れ、首筋へと移動する。彼女はもたらされる官能に仰け反り、艶やかな声を上げた。二人の行為にすっかり釘付けになったカルヴィンだが、女性の異変に気が付いた。注目したのは彼女の両手だ。若く瑞々しい手は老婆のように皺だらけになり、やがて骨と皮のみに変化していくではないか。  まさか犯人はクリフォードではなく、バランだったというのか。新たな事実に衝撃を受け、カルヴィンが身動ぎした時だ。 「誰だ!」  バランはカルヴィンを視界に入れた。 「お前、女かと思ったが、男……か」  女性に扮したカルヴィンを嘲笑う大きな口のそこには赤く血塗られている鋭い犬歯がある。鮮血は唇を通って顎へと滴り落ちる。  バランがこちらへ躰を倒せば、足下に女性が転がった。  まだ殺されてはいないが、呼吸する息は切れていて、立つことすらままならない状態だ。  彼女の状態は明らかにこの世ならざる者の仕業だ。  鋭い犬歯。  女性の首筋にある傷と干涸らびた両手。
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