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第五章 † ③その先にある結末。

 これらを繋ぎ合わせると、バラン伯爵はつまり、ヴァンパイアだ。  だからだ。被害に遭った女性たちの誰しもが白骨化し、血液も水分すらも抜かれていたのは!  姉を殺したのはクリフォードではなく、バラン。  この一連による事件はすべて彼によるものだったのだ。 「ああ、姉さん……」  しかし今さら気付いてももう遅い。カルヴィンは易々とバランに捕らわれてしまった。  恐怖に戦慄き目をつむれば脳裏に浮かぶのは自分を抱いた無愛想な男の姿だ。  クリフォード……。  カルヴィンが彼を強く思うと、 「くそっ、カルヴィンを離せ! 淫魔のヴァンパイア」  そこには闇色のコートに身を包んだクリフォード・ウォルターがいた。 「誰かと思えば八年前の死に損ないじゃないか。政府から雇われたヴァンパイア風情がこのおれと一戦交えようなどとは愚かな。こいつを仲間にして貴様を殺すよう仕向けてやろうか」  鋭い牙がカルヴィンの首筋にある頚動脈に狙いを定めた。  なんだって? クリフォードは政府から雇われたヴァンパイア?  耳元で告げられたバランの言葉に、カルヴィンは耳を疑った。  たしかに洗練された美はこの世の者とは思えない。  だからカルヴィンは彼を悪魔だと思っていたのだが、その実はヴァンパイアで、しかも政府に雇われていただなんて……。  全てを知った今は、しかしもう手遅れだ。  目を閉ざし、絶望するカルヴィンだが、一向に痛みがやって来る気配はない。  体勢を崩したのはむしろバランの方だった。

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