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第四章 † ③快楽に溺れる淫らな躰。

 そんなカルヴィンを何とも思わない冷酷な伯爵は、無言のままベッドから起き上がると、一体のドールを投げて寄越した。 「お前にはピストルよりもこっちの方が似合っている」  彼はそう言い残し、部屋を後にする。  取り上げられたピストルの代わりに与えられたドールは十二インチほどで、つま先から頭のてっぺんまで精巧に作られていた。  腰まであるはしばみ色の髪と長い睫毛に飾られた大きな目、細い躰は桃色のドレスに身を包んでいる。  そのドールは、今は亡き姉にとてもよく似ていた。  声を上げて笑う姉はいつも優しく、あたたかだった。  その姉があの男に殺された。もしかすると自分のように陵辱されたのかもしれない。  そう思うと憎しみは増す。 「姉さん……」  カルヴィンは姉によく似たドールを抱きしめ、ひとり泣き続けた。

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