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第四章 † ②快楽に溺れる淫らな躰。

「お前はぼくを殺せない」  クリフォードは胸元に銃口を突きつけられているというのに少しの動揺もない。薄い唇を動かすと、カルヴィンが引き金を引く寸前にピストルを取り上げた。流れるような動きで着ていたシャツごとスーツのボタンを引き千切る。  夜気に晒された柔肌はオレンジ色の僅かに灯った炎に照らされ、ぼんやりと浮かび上がった。  クリフォードの影が覆い被さってくる。  カルヴィンが彼の目的に気付いた頃にはもう遅い。抵抗も空しく、薄い唇が肌の上を這い回る。抱かれる恐怖はやがて、もたらされる官能の波に押されて自ら腰を揺らし、喘いでいた。  両足を割り開かれて露わになった後孔が彼のたくましい肉棒に穿たれる。カルヴィンは最奥に放たれた迸りを受け、そして自らも体内に注がれた熱によって果て、意識を手放した。  今日でいったい何日が過ぎただろう。クリフォードに見つかって以来、カルヴィンは賭博クラブの二階にある最奥の部屋で監禁されていた。  同性に抱かれ、無理矢理開かれた躰は官能を知り、乱れる。おかげで身も心もずたずただ。けれどもこれにくじけてはおしまいだ。姉を殺し、女性四人を死に至らしめた憎き敵は目の前にいる。  だからカルヴィンはクリフォードを罵り、反抗的な態度をとった。それが気にくわない彼はことごとくカルヴィンを暴いていく――。  ベッドの上で艶やかな嬌声を上げる姿は娼夫そのものだ。自らの姿を思い知れば悔しくてたまらない。唇を噛み締め、翡翠の目に涙を浮かべた。

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