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第五章 † ⑤その先にある結末。
そこでカルヴィンは、クリフォードが『自分の縄張り』だとそう言ったのを思い出した。
「君を監禁したのは無茶な行動を取らせないためと、そして君を抱いたのは他の連中に狙われないようにするためだった」
カルヴィンは自分の耳を疑った。
自分はクリフォードを人殺し呼ばわりしたどころか殺そうとまでしたのに、ずっと守ってくれていたというのか。
もし、それが本当なら、彼を見捨てて逃げるなんてできる筈がない。
「八年前。バランを倒せず、お前の姉さんを見殺しにしたのはぼくだ。せめてお前だけでも守ろうとしたのにこの様だ。結局ぼくでは役不足だった」
カルヴィンの頬に手が伸びる。その手は温かで優しいものだった。
クリフォードは八年前も姉を助けようとしていた?
姉に似たドールを寄越したのは、カルヴィンを慰めるためだったとすれば……。
冷酷だと思っていた伯爵が、実はとても優しい、人間味溢れるヴァンパイアだったとしたら……。
真実を知ったカルヴィンの胸は熱を持つ。
次の瞬間だった。
「生きろ」
カルヴィンはクリフォードに突き飛ばされた。
少し離れた場所に飛ばされ、しかも一般人の自分は為す術がない。
ゆっくりとした足取りでやって来たバランが彼の肩に足をかけた。
「無様なものだな。一度は尻尾を巻いて生き長らえた命を無駄にするとは。安心しろ、あの人間もすぐに後を追わせてやる」
バランの牙が肩口に当たる。
クリフォードを助けなければ!
その一身で踏み出した爪先はドレスの裾を踏んだ。
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