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第9話

「アラン。俺を困らせないでくれないか?」 アルバートが何を言っているのかを理解できずにゆっくりと顔を上げて下から伺う様に見るとアルバートも僕を見ていた。 ドクンっ! 僕の心臓が跳ね上がる。 何? アルバートに見つめられて僕の心臓が激しく動き始めている。 オーウェン様にキスをされた時も心臓がうるさく騒いでいたけれどそれとは違うのだ。 身体中の血が熱くなりアルバートに強く抱き締めてもらいたくてずっと側にいたくて離れたくない。 「アルバート・・・・・。」 「すまない。アラン。」 僕がアルバートの名前を呼ぶと目を見開いて僕を押し退け小さな声で謝ると部屋から出て行ってしまった。 何かしたのかな? 僕みたいなのが抱きついたからアルバートは怒ってしまったのだろうか? そうだ『困らせないでくれないか』とアルバートは言っていた。 そっか僕が落ちこぼれなのに抱きついていたから呆れてしまったんだ。 うるさく騒いでいた心臓が大人しくなり目から涙が次から次へと溢れ出してくる。 優しい声を掛けられて勘違いしてアルバートに甘えてしまったからそれで気分を悪くされてしまったんだ。 オーウェン様の事もアドルフの事も色々あり過ぎて僕はもう何も考えれない。 涙を拭いゆっくりと歩いて教室に戻り自分の席に着くといつもの様にボンヤリと窓の外を見つめていた。 何も考えたくない。 誰とも関わりたくないからもう学校に来なくても良いかな? どうせ治癒魔法しか使えないんだこのまま学校に来て授業を受けても進級は怪しいだから無理しなくていいかな?

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