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第10話
各々のクラスで授業中にあった面白いこと、定期テストが近いのが憂鬱だなとか、食堂で冷やしそばや冷やしうどんが始まったとか、……光の彼氏自慢とか、そんな話をしながら並んで歩くいつも通りの帰り道。
少し変わったところといえば光が頻繁にあいちゃん の話を振ってくるところ。
「あいちゃんと仲良いの?」
「いや、こないだ初めて喋った」
「え!ちが……………そっかー」
「…?あいつなら友達多そうだし別のやつに頼めるだろうに、俺より光と仲良いじゃん、写真だって俺よりお前の方が…な、ひかりちゃん?」
「いやほんとないからな」
「なんでそんな頑な…」
プンスカと効果音が付きそうな顔をして見せてくる
光は俺と比べて(いや比べなくても)目立つ顔立ちをしているし、女顔でもないが綺麗な顔をしている、隣に歩くのがたまに嫌になるくらい。
「また今度、あいちゃんに写真見せてもらいなよ、すごい良いの撮ってるよほんと」
「全然しらない…」
「ほーんと友達少ないよな、指田」
「それすごい悪口だからな」
「あっは、ごめんごめん!」
一頻り笑うと「あ、俺今日こっちだから」と横路を指差して「デートなんだ」と語尾にハートがつきそうな口調で言い、手を振って駅の方へ歩いていった。
恋人が居たことない俺は少し光を羨ましくおもうことがある。
女性を好きになったことがなく、つまりは初恋がまだなわけだから恋人ができるわけもないんだけれど…
男性が好きなのかと思ったこともあるけど、それを含めたとしてもそんな相手が居たこともなくて。
いないところで困ることもないけど、やっぱりたまに寂しい。
「彼女ほしいかも………………」
「えっ??!?」
「え?」
無意識に呟いたら後ろから聞いたことある声が聞こえた。
振り返ってみると口を開けたままわなわなとしている高野が立っていた。
なんで、と思ったけどそういえばここを曲がれば学校の最寄り駅だから当たり前か、と自己解決する。
「え、あの、えっと、指田くんは………彼女とかほしいの………」
「え、あ、聞こえてたの…」
恥ずかしいな、と思ってニヘッと笑ってみたけれど目を合わせてくれない。ちょっとショックかも。
「ほしいっていうか、光みてたらいいなって思うわけよ、やっぱ寂しいし」
「じゃあ、お、俺が………!」
「なに、慰めてくれてるの」
そんなんじゃ………と段々小さくなっていく声は物凄く傷ついているように聞こえた。え、なんで、なんでそんなに悲しそうな顔してるんだ。
「じゃあ俺は電車だから」
そう言って高野は駅の方へと歩いていった。
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