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第4話

時を遡りを連れてきたその日 「…ねぇ、天狗さん?」 そう天理の服の裾を引っ張る凛 「天理と呼べ」 座敷に二人並んで腰かける天理は凛を自分の膝の上に乗せる 「てんり? てんりは寂しいの?」 「は?」 唐突な質問に何と答えればいいか分からない 今までそんなことを指摘されたこともなければ寂しいなどと思ったことはない…はず…… 「大丈夫だよ 僕がず~っとそばにいてあげるから」 凛は天理をぎゅっと抱きしめながら言った そんな凛に戸惑う天理だったが 今は自分の傍にいたいと言っているがその内家に帰りたいと言い出すだろうと思った 今まで連れてきた子供達のように……… 皆そうだった 暫くしたら帰りたいと泣きじゃくる そうなればもう要らないと シグへと引き渡してきた しかしいつまで経っても家に帰りたいとは言わない だから聞いてみた 「凛、お前は家に、親の元に帰りたいとは思わないのか」 「……帰りたい でも天理といる 天理が寂しくないようにずっとここにいるの」 「………」 流石に驚いた 帰りたいと言いながらずっとここにいると言ったのだから 変な子供だと思った だから少し興味がわいた そしていつしか自分にニコッと儚げに笑うこの子が酷く愛おしくなり そのまま家にも帰さずシグにも渡さず10年以上も経ってしまった

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