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第5話
深夜、床で眠る凛を見つめる天理の背後から
足音が聞こえた
「手放すなら今の内だぞ
人の寿命には限りがある
必ず先に死ぬ」
そう天理に忠告するのは天理の昔からの付き合いがあり10年前凛を喰うつもりだった
犬神、シグだ
「私が今更こいつを手放すと思っているのか?」
シグの方には向かず凛の頬を指で撫でながら答える天理
「……そうだな、お前は決して凛を離さないだろう
だからこそこいつが死んだときお前が正気でいられるか……」
「………」
分かっている
人の寿命など妖からしてみれば瞬きの時間のように短い
けれど愛してしまったのだ
この美しい子供を
シグは話はそれだけだとこの場を後にした
本来なら10年前に喰らうはずだった
なのになかなか天理が手放さないから……
以来、人の子を喰らうのができなくなった
否、しなくなったが正しいか
「たかが人に絆される妖など笑えるな
あいつも俺も_____」
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