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第15話
血が舞い散ったその瞬間に皆息を飲んだ
天理には沢山の血が付いているも天理は無傷だ
代わりに彼の腕の中に倒れこんだのは
天理を庇った凛だった
「……り…ん………?」
大量の血がどんどん流れ反応がない
天理の震えた声だけが空しく響く
心臓と脈を確認するも既に動いてはいなかった
死んだ_____
シグも人の姿に変化するとあまりのことに
その場にストンと膝を着いて放心状態となる
「りん……りん………」
天理は腕の中の亡骸を抱きしめ力無く名前を呼び涙を流す
紅牙は意外な様子でそれを見つめていた
もっと激昂して自分を殺しに来るんだと思っていたから
あんな風に涙するなんて思わなかった
同時にあんな表情が出来るのかと驚いた
自分には決して見せない表情
どうしてこんなにイライラする?
どうしてこんなに虚しい?
そうだ、自分は天理が好きなのだ
圧倒的な実力と美しい姿
欲しいと思った
自分に振り向かせようと………
けれどそれは最初から叶わぬ夢だったのだ
どんなにこちらを向かせても結局眼中にあるのは
その人間だけなのだから
ならば______
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