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第5話

ここは…どこなんだ? 俺は死んだのか? まぁそれもいい こんな人形のような俺なんて死んでるのと同じだったのだから… ひたひたと足音が近づく 顔を上げるとそこには夢で見た男が立っていた 「目が覚めたか」 「あなたは…誰…」 「紅い月の夜に願っただろ?ここから連れ出して欲しいと」 「…」 「何を惚けてるんだ?まぁ…無理もないだろうが…あぁ…俺は…イザヤだ」 「イザヤ…さん?」 「くくっ…さん付けとは…久しいな…まぁ好きに呼んでくれ」 「ここは?」 「天界と人界の狭間の世界」 「?」 「お前の生きていた世界ではないということだ」 「はぁ…そうですか」 「朔。湯浴みでもしてくるといい。人間が入っても問題ない熱さにしておいたから」 「どうして俺の名を?」 「俺が人ではないから?」 何故か疑問系で首をかしげながら答える目の前の男に思わず笑みが零れた 「ほぉ…中々美しいものだ」 浴室は豪華な装飾品で飾られとても広い 俺のいたところのものとは全く違う 「恐ろしいか?」 俺にとって風呂はあまりいいイメージはない あそこの浴室で何度ひどい目にあっただろう でも不思議と恐怖は感じなかった ゆっくりと刻まれた生々しい傷に触れる みるみるうちに傷が消えていく 「イザヤさん傷が…」 「あぁ薬湯だからな」 「薬湯…」 「人間のつけた傷なんざすぐに消えてしまう」 「そうなんだ…」 ここのお湯はとても気持ちが良く忘れていた癒しを得た気がした

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