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城之内蓮はむかつく奴?
次の日の朝、いつものように亜輝斗の所で過ごしホームルームになる。俺は筆箱ごとすべて忘れてしまった事に今更気付いて、誰かから借りよ…とか思うも、俺の周りはあんま喋ったことない奴ばかり。
おぉっと。これは後ろの城之内君の方がまだ喋りやすいな…。でもあんま喋ったことないから言いにくいな。俺は思い切ってぐるっと後ろを向いて顔を覗き込んだ。
「な、なぁ城之内さん?」
城之内は一瞬ピクって驚いたようだったけど、すぐに柔らかい笑顔で「何?」と聞いてきた。
「あの…お願いがあるんだけど、シャーペン持ってない?出来れば1日中借りれたら…良いんだけど。」
「あぁ、なんだそんな事か。はい。消しゴムも2つあるし借りていいよ。」
おお!マジか神!!
「まじで!?ありがとう!凄い助かる!」
ジー…そのやりとりを見つめる1人の女子が。
「ねぇ、蓮くん?私が忘れた時貸してくれなかったのに。」
んわ、間宮さん…。俺は本当に応援してるよ君の事、うん。頑張れ…。相変わらず城之内はシカトするんだな…。まぁ、たまたま今日は持ってたんだよ!うん、どんまい間宮!
城之内ってナルシストなのかなって、むかつく奴かと思えば優しくペンを貸してくれたり…。どんな奴なんだ?
俺は「あ…ありがとなっ!」って最後にまた言って前に向き直った。
そして数学の時間になり、後ろから肩をトントン叩かれた。何だろう、振り返ると城之内が赤ペンを俺に差し出しながら
「丸付けした?筆箱ごと忘れたんなら赤ペンないかなって。」
「え!城之内さん…あ、ありがとう。まだやってない!借して欲しいですっ!」
何なんだ本当に…人が良すぎる。こんな俺なんかに気遣ってあげるなんて素敵過ぎるっ!
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