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第6話
「どうして泣くんですか?僕、嫌な事言っちゃいましたか?」
「違うよ、俺が言いたくない事を言わせちゃったんだ……ごめんね」
ポロポロ零れる涙はガラス玉みたいで綺麗だ。人の涙ってこんなに綺麗なんだなあ。
僕はガラス玉みたいに綺麗な涙をマントでゴシゴシを拭いた。
「僕、平気ですよ?……お母さんのお腹にいた時にずっと、声がしてました。ごめんね、産んであげれなくてごめんね……ごめんねって。お母さんは僕を嫌ってたわけじゃないんだって知ってるもん!だから、嫌な事じゃないんですよ?事情があったんです」
僕はゴシゴシ涙を拭いてあげて、チュッってほっぺたにキスをした。
先輩が僕が落ち込んだり泣いたりすると、キスしてくれる。そのキスは温かくて優しくて涙も消えるし、寂しい気持ちも消えちゃうんだ。
「涙が消えるおまじないです……僕もやってもらうんです先輩に」
ニコッと笑うとシュウちゃんは「先輩……恋人なんだろ?キスとか普通しないから」と返された。
「仲良しのキスって先輩は言ってましたよ?」
「仲良しなら出来るのキス?」
「はい!だから、キスしたんですよ?」
僕がそういうと顔が近付いてきて、唇にチュッてキスされた。
「仲良しのキス……もっとしていい?」
シュウちゃんに言われて頷く。すると、唇が重なってきて……それから口の中に舌が入ってきた。
絡んでくる……先輩も舌入れてくるから平気なんだけど……気持ちいいよね。キス……。
唇が離れると「これで仲良しになったよな?」とシュウちゃんは微笑んだ。
「はい……あ!!そうだ!今何時ですか?」
「えっ?深夜過ぎてるけど?」
え!!深夜過ぎてる!!やばい!迎えに行かなくちゃ先輩に怒られる!
「あの、あの迎えに行かなきゃ!」
「えっ?」
「時間までに連れて行かなきゃ地縛霊になっちゃう!2丁目ってどっち?」
僕は必死に頼んだ。すると、「案内してあげるよ、迷子になっちゃうだろ?」と住所まで連れて行ってくれた。
だから、無事にお迎え出来た。
シュウちゃんとは名残り惜しいけどそこで別れた。生きている人がこっちに来れるわけでもないし、僕がずっとそこにいるのも霊魂を迷子にされちゃうし、いや、僕も迷子だけど。
そして、先輩の元へ報告に。
「チビコ、お前……迷子になったらしいな」
先輩が僕を睨んでます!
先輩はイケメンで長身だからすごい迫力あるんです……だから、ぶっちゃけ怖い。
「でも、でも、ちゃんと霊魂は連れてきました!」
ちゃんと言ってやったぞ!怖いけど、ちゃんと言わなきゃ。
「生意気に言い返して……お仕置きされたいのかな?」
ニヤニヤする先輩。
「お仕置き……あ!先輩のせいで僕、おちんちん見られたんですよ!人間の男の人に……その人霊感あってお話できて、あと、頭撫で撫でもしてくれました!優しいですね人間って」
僕は先輩にシュウちゃんの事を報告した。
すると先輩の目が釣り上がって「もっと、詳しく教えろ」と迫力で迫ってきた。
「えっ?えっ?なんか怒ってますか?」
「ちんこ……見られたってエッチな事されたのか?」
「エッチなこと?先輩みたいな事ですか?されてませんよ?だいたい、先輩がパンツ穿かせてくれないからでしょ!」
「その人間の名前教えろ」
「は?まさか、エッチなお仕置きしに行くんですか?ダメです!シュウちゃんは優しい人なんです!」
「そうか、シュウちゃんって言うのか家は?」
「えっ?言いませんからね!」
僕はその場から逃げた。
優しいシュウちゃんにお仕置きとか先輩は鬼だ!!!
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