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第7話
「い――」
――やだよ、と友悟が反対の意を叫ぼうとしたとき、
「だめだよ」
秋斗のほうが先にきっぱりと言った。
「こいつを白兎って呼んでいいのはオレだけ。もう特許とってあるから」
そう宣言して、グイッと友悟の肩を引き寄せる。
秋斗の髪が頬に触れ、シャンプーの甘い香りがかすかに漂ってきた。友悟の鼓動がまた一段と速くなる。
密着度が高いので、友悟のときめきが秋斗にも伝わってしまいそうだ。
頬が熱い……。
「ほんと仲いいよねー、高橋くんと稲葉くんって」
「うんうん」
秋斗に憧れている女子生徒たちが、友悟のことをうらやましげに見つめてくる。
そのことが、ちょっぴり誇らしくて、心地いい。
秋斗がさらに言葉を紡いだ。
「まあね。白兎がしろうさぎなら、オレは大黒様って感じかな」
「えー、ちょっとイメージが違う―、高橋くん」
「超イケメン大黒様」
宏の言葉にクラスメートたちが大うけする。
平和な昼休みは、ゆったりと過ぎていった。
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